近年の弁護士事務所事情
弁護士として働く場合には、個人で開業をする場合とまずは弁護士事務所に入ってそこで実際の経験を積むという方法とがあります。
日本でも有数の難関資格である司法試験に合格したとはいえ、全く弁護士としての経験がないまま開業をしても、なかなか事業を軌道に乗せるのは難しいことです。
そのため、ほとんどのなりたて弁護士さんはまずは弁護士事務所に勤務をし、そこから自分の適性を見つけつつ経験を積んでいくことがほとんどです。
ところで現在日本における弁護士事務所は、全国に1万3115ヶ所(2011年3月の調査)あります。
このうち事務所に在籍する弁護士の数が1人だけの個人事務所は全体の6割となっており、残り4割は複数の弁護士さん同士が共同で営業を行う事務所となっています。
以前までは弁護士となったからには個人事務所の設立を目指すのが当然の成り行きという風潮がありましたが、ここ最近では弁護士の仕事が減ってきたことと、事務所同士の競合が激しくなってきたことの影響もあり、あえて複数の弁護士を抱える大手事務所に長く在籍することを希望する人も多くなっています。
弁護士大国の米国ではむしろ個人で営業をする弁護士の方が少ないということもあり、都市部の人が多く集まる場所では日本でも大きな事務所として営業を行うスタイルが定着しつつあります。
日本最大規模の弁護士事務所
なお、現在日本の弁護士事務所の中で最も規模が大きいのは西村あさひ法律事務所(東京都)で、在籍する所属弁護士数はなんと481人となっています。
次いで同じく東京都の長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所と続いており、いずれも300人を超える大型弁護士事務所となっています。
なぜこのように東京都に大型弁護士事務所がたくさんあるかというと、これは弁護士業務の顧客の中心が法人となり、M&Aなどのために弁護士の助言を必要とすることが多くなっているためです。
年収面をみてみると、最もピークであった平成17年では2097万円と高額平均年収でしたが、平成18年には平均772万円と急落しており、そこから横ばいを続けたのちに平成22年に1271万円にまで再上昇をしています。
年収の乱高下は、日本の司法制度改革が行われたことにより、弁護士数が一気に急増したことが関係しています。
今後は弁護士同士でどう住み分けをしていくことができるかという専門性が、弁護士としての年収を大きく変化させていくことになりそうです。